常磐線と水戸線を乗り継いで、美しいご婦人がリフォームの為来店された。
50歳過ぎて教師になったという、異色の経歴にも驚いたが、持参されたリングの華やかさやお話しから、ドラマティックな若かりし頃の人生場面を、興味深く窺い知る事が出来た。
「指輪は、派手過ぎて幅が太くてはめにくいので、シンプルに・・・・」
「残ったダイヤでペンダントヘッドを・・・」
と依頼下さった。
ヘッドは、当店のリフォーム集(計6冊有り)をご覧になり、以前"ルビー"をリフォームなさった方の出来上がり作品を指して、「この様な感じに出来ませんか?」とおっしゃる。
「では、ご持参のお品から宝石を全部はずし、その宝石を使用した場合の、指輪とヘッドの完成図をファックスします。見積もりも付けて・・・・」とお答えした。
「遠くから来た甲斐がありました!!」と帰られて後、外した宝石を1個1個並べて、実物大の絵を描く。テーパーと呼ぶ細長い台形のダイヤは、細さも長さもみな違うので、大変な作業ではあった。
図面通り・見積もり通りに仕上がった指輪は、指の収まり具合が良く重過ぎず、当店の制作上での"学び"も得た。取りに見えた時、ケースを開けたとたん"ウワー"という歓声がして、私たちの緊張は吹っ飛んだ。