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工房ゆりーこオーナーブログ ~出会いあれこれ~
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工房ゆりーこ
オーナー・ジュエリーデザイナー
八木百合子
プロフィール
ご縁ある仕事を、楽しくやらせて頂ければ、”幸い”です。
1971年、東京神田にある宝石業界では老舗の宝石輸入・製造会社のジュエリーデザイナーの入社試験に、インテリアデザイナーの募集と勘違いして試験に臨んでしまった。
当時の社長の言葉、「人生は縁で成り立っているんだよ。人間は”縁”に従うべきだよ君、試験だけでもいいから受けなさい!」を半信半疑聞き入れて、今日がある。

そんなわけで、「成りたくて成った」わけでないこの仕事でも、自他共に向いていると感じられた。が、数年後に結婚・出産とつづき、子供を預ける施設もないまま、当時としては珍しく、社長から自宅出勤を進められて続けてきた。

7年後退職。2子誕生を迎えて田舎に家を建て、子育てに集中しようと決心していた。しかし、ちょっとしたアルバイトをきっかけに次々と仕事が広がって、気が付くと月100枚のデザインを描くフリーのデザイナーになっており、子育てと仕事のはざ間での過労は、度々腎盂炎を引き起こすことになった。

幸いなるかな当時の日本は、まさに高度成長時代の真っ只中で、鋳造会社が台頭しオリジナルのデザインが求められていた。日本キャスティングクラブという名称だったと思うが、鋳造技術を共に学び合う会社のお仲間達に誘われ、1981年外国との技術提携をも兼ねてイギリス・フランス・イタリア・スイスそしてドイツの”バーゼルフェアー”という世界宝飾展を見に行く。そこで、歴史の浅い日本の宝飾業界が、ヨーロッパには太刀打ちできないだろうと考えていた私の考えは一掃され、「日本人の創っているものは決して劣っていない!!」と、大きな感激を得て帰国した。

外国から戻った時、1歳の娘は高熱を出しており、しばらくして私も腎盂炎になり熱が下がらなかった。いよいよ仕事は”やめ時”と考え、もう描くだけ描いたから惜しくない、と主人に言った。
「”宝石という美しいもの”の仕事をやめてはいけないよ。君のデザインしたものを売ればいいよ。」といい、設計事務所を営んでいた夫は、1983年塀を壊し庭を駐車場にし、居間を店にしてくれたのである。

これが、片田舎に小さな宝石店が存在している理由なのである。訪れる人々が、「こんなところにこんな店が・・・・?」と不思議そうに言います!

しかしこの後も、店を辞めたいと考えていた頃、「宝石は、何百年もの間、宇宙光線が地中深く差し込んで結晶される」という文章に出会い、その成立に畏敬の念で心が震えた。そして主人の言葉も、社長の言葉も本当に有り難い事であったと感謝したのである。
宝石は神様から人間へのプレゼントだと思って、若い時の様に根をつめて仕事をするのでなく、楽しんで喜んでやるべきでは?と、今は思っている。
ジュエリーデザイナー     八木百合子
ブログ記事一覧
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初めてこの方が来店下さったのは、2年前の事。記憶では、湘南ラインで川崎まで毎週介護に通っている・・・・と。お母様は介護の末亡くなられ、その時、頂いた遺品の貴金属を持参して、指輪とヘッドをリフォーム下さった。

そして今年にに入ってから、「母からこれを又頂きましてね・・・」と再びご来店。聞けば、ご主人のお母様をもお世話されているそうで、「もう何十年も介護の人生を送っていますよ・・・」と極自然に微笑まれた。


さり気ない短い言葉に、私は圧倒された。「病気の時は病気になって良かろう、死ぬときは死ねば良かろうと!」と言った良寛みたいだ!!と尊敬の眼差しでお顔を見つめた。


今回は、パールはフォーマルでダイヤは普通に、と用途別のリングをご要望され、ヘッドも雰囲気の異なる2パターンの提案に、宝石に対する“愛おしさ”故か、気持ちよく創らせて頂く事となった。After の写真を見る度に、出来上がり時の明るい笑顔が思い出される。


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十数年前、結城市で行われた”第九の会”でベートーベンの交響曲第九をドイツ語で歌った顔見知りのお仲間が、突然訪れる。

「ホームページみて驚いちゃった・・!!こんな近くで、こんな素敵なものを創っていたなんて!!」

最近若いカップルからも「ホームページを見て・・・」と言われることが多くなったが、以前からひとつひとつに同じ想いで向き合って、気がつけば40年の歳月がたっていたにすぎない。


80代のお母様が、いつの間にか認知症が進み、やむなく病院に預けていらっしゃると言う。そのお母様が下さった大切なものを”使いたい!!”と思われた様である。とにかく指輪をひとつ、ヘッドをひとつ、イヤリングを一組つくるというご希望になった。


お母様の病気ゆえの"切ない言葉”、”切ない所作”に心を痛めながらも、一人っ子で可愛がられ、幼少からピアノ・日本舞踊・書道(お父上から)をたしなまれ、歌舞伎大好きという方、“これから人生を明るく前向きに楽しもう”という想いが伝わってくる。私にも、”もう、自分を大切にして生きよう!!”と思わせてくれる。


 

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お子様が来年入学する・・・という30 歳前後の若いご婦人が来店。このデザインは、当社にとっても初体験であり、緊張しながらもワクワクする加工で、ご縁に感謝している。


紫色のアメジストと黄橙の水晶が石留めしてあるリングを2本持参して、「生前の母のものですが、普段使える様になりますか?姉の分と私の分2つつくりたいのですが・・・」と。

「何を創ったら、お二人は普段に使うでしょうか?」とお聞きすると、「わからない」という。「二つの宝石をひとつずつ分けて使用するのですか?」とお聞きしても、「わからない」と微笑み、「何も考えないで来ました!」という。

”子育て中の年代ならば、宝石は馴染みの無いもの、致し方ないな-”と合点し、「一緒に考えましょう!」という事に。


まず指輪の真横から宝石の高さを、真上から大きさを確認して頂き、"指輪としての普段使いは年齢的に無理"な事に納得頂く。そして急に出てきたアイディアをスケッチしてみた。

「これなら普段に気兼ねなくつかえませんか?」すると、にっこり頷いて下さった。


 

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 親子でのご来店。娘様は結婚なさってマレーシアに家族で滞在、今は一時帰国だそうで、戻る日迄にお渡し出来る様に、と加工依頼される。御母様の手持ちのものからイヤリングのブルー色のスターサファイアが気に入って、リングとヘッドを創る事に。華奢な体型でシンプル好みという事で、写真①-afterのようになった。


②-beforは、ご主人の外国製陶器のネクタイ留めと、以前リフォームの婚約指輪の枠で、「両脇についている長角ダイヤ2個を組み合わせてヘッドを創りたい・・・・」との要望でご来店くださる。何回もリフォーム下さっている顔馴染みの方からの依頼なので、少々断り憎かったのだが、陶器の素材を金属で留めるのに不安があり、まずタイ留めに接着で止めてあるらしいこの陶器を、枠から外すのさえも、"割れるのでは?”と恐れた。「割れたら、割れたで結構ですから・・・・」との熱意に、制作することに。


このお二人の、何時にない喜びの表現は、日頃の苦悩をすっかり洗い流してくれた。


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50歳代の優しそうな方が沢山の手持ち品を持参された。「これは姉が買ってくれたもので、これは兄がかってくれたもので、これは母からもらったもので・・・・」というお話しの端端に暖かなご家族に囲まれてお育ちになった様子が窺えた。


「順番にリフォームしたい!」という御希望で、御母様から頂いた指輪2本を1つにし、お姉様とお兄様から頂いたパールとガーネットを一つのヘッドにすることに。(1)

そして出来上がって後、ヘッドだったオパールと指輪だったトルコ石でヘッドを創った。(2)

次にパールのリングを、ふっくらした優しい手に合う様に作り替え(3)、今は大きな珊瑚を中央にイヤリングとブローチから外したパール達を外側に配置したヘッドを制作中である(4)。ほぼ1年がかりのご縁を有り難く思っている。


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当初、さいたま市からリフォームにいらっしゃる方と御一緒に、数点の品々を持参でご相談にこられたが、当店の”貴金属買い取り”がリフォームする人に有利になるシステムを知って、二度目のご来店には、ほとんど使用していない品々を沢山持参なさり、再度ご相談を受ける。

還暦前後のお年で、ほっそり型のすっきり面長、無地でシンプルなお召し物を好まれ、静かな微笑みを常時絶やさない素敵な方で、モダンな大和撫子といった雰囲気をお持ちの方である。


同じ年齢位の方々が口を揃えていうことではあるが、やはり「数は入らないの!気に入ったものが少しだけアレバ・・・・」とおっしゃり、「1番高価なサファイヤで指輪を創り、他の宝石をまとめてヘッドにしたらいかがでしょう・・・」と、思いつくままにラフスケッチを描いてみた。"ダイヤ・エメラルド・アクアマリン・トルマリン、の宝石も深さが違うので高さの調節が難しいなー”と思いつつも、"色の組み合わせが爽やかでこの方の雰囲気ににピッタリにできる!"と描き進めていった。


珊瑚以外の宝石を一つ残らず入れ込んで、重過ぎない様に透かしたヘッドは、やはり大作だったが、指輪とも調和してご本人を照らし出した。


 

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御母様がお持ちの貴金属を娘様にお譲りになるので、「リフォームしたい・・・」と、お二人でご来店下さる。どれも思いでのつまったリングではあろうが、有名デパートで買ったというダイヤの"一文字"と言われるプラチナ枠の指輪を、お二人共が「何とか普段使い出来る様になりませんか・・・?」と。


「高さを低くして、小指側をずらしてこの様にしたらいかがでしょう・・・?」と言いながらスケッチを描いてお見せすると、すんなり「これでいいです!!」とおっしゃってすぐ決まってしまった。

「指輪の宝石は全部はずしてから、地金を売って加工代に充てますが、他の宝石はいかがなさいますか?」とお聞きすると、「たいした石ではないと思いますから何もしなくて結構です。」と御母様がおっしゃる。


私は、人間には創れないこれらの宝石達にチョッピリ同情的になり、大きなアメジを中心にして、V字りんぐ以外についている宝石すべてを使ったペンダントを、思いつくままスケッチしてみると、「こんなのが出来るならお願いします」と笑顔のお二人が言って下さり創る事に。ハートのサファイアと隣の小さなダイヤ、角のサファイアと囲まれていたダイヤ、みんな嬉しそうにみえる。


 

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この方が初めて御来店の時、左薬指になさっていた幅広の指輪が目に留まる。それはサイズが小さくて手から外すことが出来なくなっていたのだが、「気に入っているので外さなくていいんです。」と、持参のリフォームする指輪を3点見せてくださった。

「でもねー、手が可哀想に見えるんですけど・・・、これはもう寿命ですよ!!」と手の平側が薄くなっているのを確認して頂いた。プラチナの厚みが0.3~0.4ミリになっていて手を傷つける恐れが有ると説明、のこぎり付きの工具でリングを切断、「指のくびれが元に戻る迄、リフォームの方向をゆっくり考えましょう・・・・」という事に。


二回目のご来店でも、「普通幅で厚みのあるものがお似合いでは・・・」とお勧めしても、長年はめっぱなしだった幅広りんぐの想いは冷めず、幅広で厚みのあるものを御希望、予算が合わず「もう一度考えてみます・・・」という事に。三回目のご来店では、「主人の了承を得て持ってきました・・・」と眠っていたという婚約リングもリフォーム対象に加わる事に。

そして時間の経過のお陰か幅広への想いが薄れて、”本当に自分に似合い、普段にもおよばれにもできること”を一緒に考えた。結局、重ねても別々でも使える同じカーブの指輪を2本創ることに。「良かった!良かった!!」の声に、私も”よかった”!!


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Aは群馬県の方で来店する時間がない、とメールでのご注文。「妻へのプレゼント、家族のイニシャルM・R・Y・Kを入れたヘッド、予算*万迄、*月*日迄に出来上がり希望」というシンプルかつ的確な文章で、誠実なお人柄も感じられたので、「奥様の写真を2~3枚お送り下さい。雰囲気に合う様なデザインを考えますので、それをご覧になって、修正や希望をお知らせください。」と返信。(ア)のデザインを提案したが、「文字を大きくして葉の葉脈の様に・・・・」という返答、デザインを描き直し、写真(イ)の様に創り上げた。


Bはバラ育成の愛好家の方が、音大にいっている孫娘の20歳のお誕生日にと「予算*万位、ダイヤとプラチナを使用、発表会にも普段にも使用出来るもの、デザインはお任せします」ということで依頼下さった。


そしてCは、御母様がヘッドをお持ちになり、「娘の成人のお祝いに作り替えてプレゼントしたい」という御希望でハートのデザインに決めた。「貴金属は自分で買うものではなく、戴きたいものですよね!」と言った人の言葉を思い出す・・・・。


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ひたちなか市にお住まいのインテリアデザイナーの方からリフォーム依頼があった。

「母が亡くなったので、父が落ち込んでいて大変です・・・・」

「母の形見だから使うようにと色々渡されたのですが・・・」

「私に似合う様なもの出来ますか・・・?」


44歳というこの方は、誰がみても美人といえるタイプだが、からっと明るく愛らしく気取りがない。高校生のお子様がいると聞いて驚いた。がもっと驚いたのは、かなりの酒豪で酔うと大声で騒ぐそうな・・・・・。どうもそこの部分が、美人をより人気者に仕立てているように思われる。

お父様が亡きお母様にプレゼントされたというオパールを、まずメインにして何か創りましょう!!という事に。


乳白色の中にうっすら赤・みどり・黄色が見えるこの宝石は水分を多く含み衝撃に弱いのでヘッドにすることをお勧めした。色々見本をご覧頂き、優しいイメージの石は長角をモチーフにしたさっぱりしたデザインにしたい・・・、と希望された。その他のネックレスや指輪などの金類は全部売却し、その金額で、当店のオリジナルのバラのリングを創ることになった。


1ヶ月程後、オパールのヘッドの出来上がりをご覧いただいた瞬間、「うわー父が喜ぶわー」とおっしゃった。美人で人気者である所以がわかった気がした。


オリジナルジュエリースタジオ-工房ゆりーこ