初めてこの方が来店下さったのは、2年前の事。記憶では、湘南ラインで川崎まで毎週介護に通っている・・・・と。お母様は介護の末亡くなられ、その時、頂いた遺品の貴金属を持参して、指輪とヘッドをリフォーム下さった。
そして今年にに入ってから、「母からこれを又頂きましてね・・・」と再びご来店。聞けば、ご主人のお母様をもお世話されているそうで、「もう何十年も介護の人生を送っていますよ・・・」と極自然に微笑まれた。
さり気ない短い言葉に、私は圧倒された。「病気の時は病気になって良かろう、死ぬときは死ねば良かろうと!」と言った良寛みたいだ!!と尊敬の眼差しでお顔を見つめた。
今回は、パールはフォーマルでダイヤは普通に、と用途別のリングをご要望され、ヘッドも雰囲気の異なる2パターンの提案に、宝石に対する“愛おしさ”故か、気持ちよく創らせて頂く事となった。After の写真を見る度に、出来上がり時の明るい笑顔が思い出される。