「合わせてヘッドが作れたら・・・」と、お馴染みのS 様がお母様から譲られたサファイアリング二本と、頂いたという簡単な銀枠に留められたオパールのヘッドをお持ちになった。
そのオパールは、青空に白い筋雲が浮かぶかの様な魅惑的なものだが、中央下に異物の混入が有り、、その周辺にひび割れが生じていた。
数日後、宝石カットを依頼する所を訪れる。驚いたのは、このオパールの類似品(混入物無し)に出会ったのだが、その価格は想像以上のもので“水脈が結晶して出来たもの”という理由も分かり、カット代金は、カット後の宝石の価格にすれば微々たるものと思われた。
サファイアを留めたプラチナの台地に水脈が埋まっている・・・風にデザインは自然に出てきて、何億年もの歳月で地球が創造した青白く透き通る中に、緑とかすかなオレンジの光を放つこのオパールは、S 様を感動させ、制作を促した。
制作は困難を極めたが、この美しい石が後押しし、何回かやり直して出来上がる。完成後の喜びは、S 様と制作者を美しさに共感させ、この宝石とS 様とのご縁に感謝であった。