筑西市の若い男女が2本のリングを持って来店。
一つは父親から頂いたという、K18の幅広リング、「これで二人の結婚リングを創りたい・・・・」と。
もう一つは母親から頂いたダイヤ付のPT900リング、「こちらは傷だらけなので、傷を修理してサイズを小さく・・・・」と。
私は、「両親から頂いた指輪を毎日使うのなら、幸せになれるねー!」と言った。それ以上の事は言葉にしなかったので、笑いながら聞いていた二人はどう理解したかわからないけれど、『指輪を見る度に父と母の事を思い出ことだろう』と推察されたからである。
子供が出来て、自分達だけの家族に幸せの目線が絞られていくと、だんだん親の存在を忘れていくのが常である。この近辺の田舎まちに住み、時折親の顔を見る機会があれば、何かと頼り頼られて子も親も精神的な安定が無自覚ではあっても確保できるものだ。
これは私の経験したことであって、長男が3歳迄の東京での暮らしが、目先の不安に懸命に耐えながらの生活で孤独の中、次第に故郷のことが薄れていった事か。
ところが親の方はいつも子供のことを思っている。子供を忘れる親は何処にもいない!田舎の土地を分けて貰って故郷に帰った途端、親の存在に日々感謝であった。
K18のリングは二人のサイズに合わせて創った。PT900リングは傷が多く深い所も有り、サイズを直す手の内側部分がすり減って、厚みが0.6ミリになっていた。
なので、手を傷つけない様に、番数を2.5番切り落とすより、リングの半円部分を切って番数にあわせて新しく作り、厚みを1ミリ以上にした方が良いと助言した。
二人は納得して下さり、出来上りを嵌めたとき喜んで下さった。