十年ほど前に一度リフォーム下さった結城市にお住まいのF様、その指輪を紛失してしまったとかで、お母様から頂いたリングを使える様にしたい......という事で、婚約リングのサイズ直しをご希望の娘様と一緒にご来店。
お持ち頂いた、長角のエメラルドが留めてあるPT850のリングは、リングの中央真下部分が細くて、しかも薄くなった為かリングが歪み、線が入り折れ曲がっていた。
もう一本のPT900の月甲丸も、リングの下部は見るからに薄くなっており厚みを計測すると0・6ミリしかない。
以前、病院での検査のために、はめっぱなしだった結婚指輪を外そうと思った近所の方が、「指輪が手に刺さった!!」と駆け込んで来た話をさせて頂く。
指輪が抜けなくなった人の為に、指輪を切断する道具(消防署にもある)は常備してあり、何度か使用していたが、指に刺さってしまった人は初めてで、外した後に厚みを計測させて頂くと0・6ミリであった。
通常、既製品として売られているリングは1・0ミリ厚のものが多く、10年で0・1ミリ薄くなったと考えられるが、重い荷物を持ったりとかの、指輪が摩耗し易い仕事条件下ではめっぱなしの場合は、この比ではない。
エメラルドリングは、上部の飾り下の部分から、徐々に細くなっているリングを切り落として溶かし、その地金にプラチナを加えて、リング幅を変えず厚みも1・0ミリのままで作り替えた。月甲丸は溶かしてやはりプラチナを加え、当店の見本をはめてF様が気に入った形(幅は細く厚み1・5ミリ)にした。幅と厚みのバランスの違いだけであるが、指に合ったものは美しい!
ペンダントヘッドを予算10万位でプラチナで創りたいとご来店。見覚えのあるお顔だった。
「どの様なデザインになさいますか?」と店内にある当店のオリジナルをお見せしているうちに、ご自分のオリジナルの形に気付いたのでしょう。
「六角形の中に星を入れて下さい...!」
「13年前、こちらで創って頂いた婚約リングは六角形の中にダイヤを入れて貰ったんです!」と。
その言葉に、私も見覚えのある方の全貌が思い出された。
「それがいいですね!」「一緒になさったらより素敵ですね!」とお答えする。
少し時間を頂いて、大きさを2パターンで描き、それぞれの予想のプラチナ量で見積もりを出させて頂いた。
一週間後大きさを決めて頂き、星の中に誕生石のサファイアを入れることになった。
この形からは「夢と希望が与えられる」ような気がする。
星を亀甲の中に挟み込む様にしてみました。
「数年前、指輪を買った...」とおっしゃる、おぼろげながらお顔に見覚えのある方が、ピンブローチを探しに御来店。
店内の、展示しているものはK18とPT900の物ばかり...。
「私は地味な性格で、シルバーのもので十分なんです!」とおっしゃるので、「ご予算に合わせてお作りしましょう!」と沢山あるパールの在庫(お似合いそうないぶし色のもの)をお見せする。「こんな色のパール、初めて見ました!好みです!」とおっしゃって下さったので、ラフスケッチを描きながら、おおよその見積もりを出した。
「その位で出来るなら、創りたい...」とおっしゃるので、「針と、針を留めるキャッチの価格を調べてから、より正確な見積もりをお知らせします...」とお答えする。
月曜日、金具の仕入れ価格を調べてお電話し、創ることになった。
長年お付き合いして後のご結婚だそうで、筑西市にお住まいの穏やかで安心感のあるカップルです。
男性は、少し角ばった存在感のあるデザインを好み、女性は、なだらかな曲線のデザインを好みますが、このお二人もその様でした。
お二人の要求を両方共満たそうと、男性の選んだ当店のオリジナルデザイン型に、高さを盛り上げる・全体を丸くする・手の平側を斜めにする、という大がかりな原型の修正を3日間行ってから、PT900の鋳造に入りました。
結果一品物です!
お二人の出会いは、お寿司屋さんでのアルバイトだったとか......、リング裏のお二人の文字の間には、卵焼きのお寿司をいれました。
遠方の日立から結婚リングを見にいらっしゃったお二人、ご自分達の手の特徴に初めて気づいて、この小指側下がりのデザインに決めて下さいました。
リング裏側の文字彫りは、お二人の出会いにまつわる事・職業趣味・お好きなこととかを文字と文字の間に彫ってあげるサービスをしています......とお話しする。
「じゃ考えてメールで送ります」というお返事、色々考えて頂き最終的に富士山の絵が送られてきました。
お二人の出会いはロッククライミングだそうです。
【A】
ご主人様から頂いた立て爪を、「子供達が巣立ったのでリフォームの時期かしらと思って......」とご来店。
立て爪は、ほとんどお使いの痕跡が無く新品同様の状態なので、「フォーマルでなく、普段にお使い頂けるようなデザインがいいでしょう!」とお聞きする。
「とりあえず、娘の結婚式に嵌めたいのだけど......」と。
見本を色々はめて頂いて、嵌めやすく手が長く見える、ダイヤを両腕で挟み込むデザインに決まる。
【B】
ご主人様から頂いた立て爪リング、例に漏れず新品同様、「リフォームの時期かな・・・と思って・・・(還暦?)」と。
N様は10年前にサファイアのリフォームをなさって頂き、その時に外したメレダイヤ4Pも、「今回使って下さい」とお持ち下さった。
見本を見て、「これがいいかな・・・」とお選び頂いたデザインを、ダイヤ4Pを入りのオリジナルに制作しました。
小粒ダイヤ4Pは彫り留めにし、存在感が出たので喜んで頂いて嬉しいです。
【C】
お母様の立て爪リングを、すでに購入済みの結婚リングに合う様にリフォームしたいとご来店。
結婚リングが真っ直ぐなので、真っ直ぐなリングにし、ダイヤが目立つように、細い線のテクスチュアがあるものにした。
ダイヤ枠は、結婚リングと一緒に2本重ねて使用しても、ピタッと重なる様にセッティングしてあります。
来店の1ケ月程前、当店のHPをご覧下さったというS様は、「94歳になるおばあさまから譲られたリングをリフォームしたい......」という内容に、譲られたリング達の説明あれこれ等、親しみ満載の長いメールを下さった。その後も、「お祖母様のいる広島に帰ってきます......」というメール。
6月に入った日曜日、突然電話がありS様ご夫婦がつくば市からご来店。お祖母様が突然亡くなられて広島に帰った由、昔からの親類の様な話が続き、つい私も仕事そっちのけで主人が亡くなるまでの話をしてしまった。
リフォームは縦15ミリ横11・5ミリの翡翠とダイヤ一文字・ダイヤV字の2本、合計3本で、シンプルな普段使いの翡翠のリングをご希望。S様の手を見せて頂くと、サイズ9番ですらっと長い手で小指側の付け根の下がりが大きかった。
大きな石を普通の真っ直ぐなリング腕にした場合、S様の薬指の中央には収らず、小指側に傾くに違いないので、その旨の説明をもうしあげた。
しかし「お任せします」というご返答で、加工代金の話には触れようとなさらない。頭から私を信用下さっている事がありありと解り、大きな石が手に密着して薬指に真っ直ぐ安座するデザインにするには、どうしても20万以上はかかってしまう、その事を言い出すのが苦しくなり、「シンプルにリング腕真っ直ぐにしてしまいましょうかー、そうすれば売却代を引けば、10万位で出来ます」と言ってしまった。又「お任せします」というご返答でお帰りになられた。
その後一週間、自分の心の弱さに良心が悩み苦しんで、苦しんでメールを送る。「S様のすらっと長い手を思い出す度に、リング腕は下げた方が......」と。
三度目の「お任せします」に、任されることは「良心に添うこと」と頭で解っていた事の、強い実感が、実行力のない自分を叱咤した。
出来上がりを取りに来てからのS様のメールは"褒められた話"が続いている。
お持ち下さった14個のリングのうち、ご主人から頂いた立て爪リングと、亡きお姑様から譲られたパールリングをリフォームしたい・・・・というご希望でご来店下さった。
立て爪のダイヤは、当店のオリジナルで手が長く見え嵌めやすいデザインにし、パールは玉が小さめで寂しい・・・・とお感じだったので、両脇に小粒のパールを足して、小指側に斜めに流れるデザインにしました。
他には、ご主人様の結婚リングが、30年の年月を過ぎているにもかかわらず真新しいので自分の結婚指輪はサイズが小さくて使えないという奥様に、「普段使いのダイヤ入り結婚指輪を作られたらいかがですか?」とご提案。
指輪14個から宝石は全部外し、地金はチェーン2本も含めて売却し、指輪3本を制作しました。
指輪3本が出来上がってから、外した宝石を全部使って手作り加工のヘッド(世界で一つ)を制作、ヘッドの重さに見合ったPT850のチェーンもご購入頂いた。
ご使用なさる奥様の雰囲気に合うような柔らかいデザインに、宝石を一つ残らず配置しました。どんどん使ってくださるとうれしいですね!
沢山作らせて頂けて感謝です。有り難うございました。
筑西市の若い男女が2本のリングを持って来店。
一つは父親から頂いたという、K18の幅広リング、「これで二人の結婚リングを創りたい・・・・」と。
もう一つは母親から頂いたダイヤ付のPT900リング、「こちらは傷だらけなので、傷を修理してサイズを小さく・・・・」と。
私は、「両親から頂いた指輪を毎日使うのなら、幸せになれるねー!」と言った。それ以上の事は言葉にしなかったので、笑いながら聞いていた二人はどう理解したかわからないけれど、『指輪を見る度に父と母の事を思い出ことだろう』と推察されたからである。
子供が出来て、自分達だけの家族に幸せの目線が絞られていくと、だんだん親の存在を忘れていくのが常である。この近辺の田舎まちに住み、時折親の顔を見る機会があれば、何かと頼り頼られて子も親も精神的な安定が無自覚ではあっても確保できるものだ。
これは私の経験したことであって、長男が3歳迄の東京での暮らしが、目先の不安に懸命に耐えながらの生活で孤独の中、次第に故郷のことが薄れていった事か。
ところが親の方はいつも子供のことを思っている。子供を忘れる親は何処にもいない!田舎の土地を分けて貰って故郷に帰った途端、親の存在に日々感謝であった。
K18のリングは二人のサイズに合わせて創った。PT900リングは傷が多く深い所も有り、サイズを直す手の内側部分がすり減って、厚みが0.6ミリになっていた。
なので、手を傷つけない様に、番数を2.5番切り落とすより、リングの半円部分を切って番数にあわせて新しく作り、厚みを1ミリ以上にした方が良いと助言した。
二人は納得して下さり、出来上りを嵌めたとき喜んで下さった。
昨年暮れ、当店の"売り出し"でK様がラピスラズリのオリジナルヘッドをお買い上げ下さった。そのラピスラズリは滅多に無い大きさで、初めてその大きさに出会った時は心弾み、「どの様なデザインにしようか?」とずーと考え続け、娘婿の加工の腕が上がってきたときにデザインを決めた。
結局、大きさがあるのでチェーン通しを考えただけであったが、「幸福を呼ぶ」と言われる青い石の力が感じられ、売れていくのががチョッピリ悲しくなった。
有り難くもK様はラピスのイヤリングも一緒にお買い上げ下さるとおっしゃるので、K様の幸せを祈って送り出したのであった。
今年に入ってから、K様ご来店。ラピスラズリのヘッドに通すチェーンが無いという。「ではラピスラズリのチェーンを使いましょうか?」とご提案。金のチェーンは高額だし、キラキラと派手になり、大きな石の素朴さが失われそうであった。
K様も同様にお考えで、「2連のブレスも創りたい・・・・」と言うことになる。
紺色がお好きとかで、トータルで揃えておけば、そのうちの幾つかを組み合わせて使えるので便利だという。
青い色のものが全部出来上がったのをみたら、私の心は確かに「幸せ」になりました。
やっと暖かくなりました。天然石の色を組み合わせ、若い方々のピチピチした姿に似合う、イヤリング(ピアス)・チェーン・ペンダントヘッドの3点セットを創ってみました。15セットだけですが、全部雰囲気が違う、世界で一つのものです。
貴金属製品も、洋服と同様でセットで持っていると、オリジナル効果が数倍になります。ですので、あまり目立ちたくない時は、チェーンだけ、イヤリングだけでも使用できるし、ペンダントヘッドはお手持ちの地金チェーンでも使用することが出来ます。
製品の強度をつける為には金具の種類が肝要で、全部プラチナか金を使えば良いのですが、高価になってしまいます。イヤリングの金具も真鍮(ビーズの加工などで使う)ですと300円位が、シルバー金具ですと3、000円、18金・PT900になると30、000と、桁がふえていくのです。
貴金属というのはシルバー以上(シルバーも含む)の地金を呼び、不要になった時は売れます。ですので当店では、結城紬のきりすね製品以外は貴金属のみしか使用しません。中年層の2点セットもございますので、皆様是非ご来店下さいます様、お待ちしております。
もう30年も前、お互いの子供達が小学校の時に、授業参観やら運動会やらその他PTA活動で顔を合わせていた、遠い昔の懐かしい顔に出会った時は、子供を養育するという同じ思いで同じ空気を吸ってきたからでしょうか、とにかく嬉しいものです。
しかしお互いに認識できない場合もあり(理由は年を取ったから・・・?髪型が変わったから・・・?とかで)、私の場合は名前が出てこない故に気がつかない振りをしてしまうことがあります。
だが有り難いことに、小山市I様と結婚することになったMさんは、娘が同級生だった男の子のお姉ちゃんで、「結婚する時は〝工房ゆりーこで指輪を創る.と決めていた」と言って、電話を下さいました。本当に心の底から嬉しく思いました。
しかし突然の電話の時、お名前を聞いてもお母様の顔が浮かんできません。Mさんはがっかりだったでしょう!私が思い出せない?(ハテナ)のイントネーションで受け答えしてましたから。
「あのー、成人式の時そちらでパールのネックレスを買ってもらったんです!」と聞いても、母上の顔はでてきません。「あのー、お二人でご来店頂いてご予算やご要望をおっしゃってくださいますか?」ということになりました。
ご来店当日、Mさんのお顔を見たとたんに、お母様の顔思い出しました。〝そっくり.でしたから・・・。
お陰様で若いカップルとお話しする時は緊張するんですが、親しくお話を伺い、結婚リングと婚約リングがセットで使える様に、一生懸命創らせて頂きました。
Mさんが「結婚する時は、・・・」と思っていて下さっていた分、(二人の幸せを祈り続け様・・・)と思わされています。
(PT900/リング3本/D0.294) 税込み制作代 = ご請求額 ¥420,000