¥370,657 | (税込制作代) | |
― | ¥64,750 | (地金の下取り代金) |
¥305,907 | (ご請求金額) |
華奢になり、爪が引っ掛かるパールリングと、メレダイヤの留まったコンビリングを一緒にお持ちでご来店。可愛らしく、パールの脇にハートを添えたデザインにし、加工致しました。
普段使いできるモダンなデザインに...とのご要望でした。中石のサファイアが飛び出さない様に、リングとほぼ一体型になるように加工致しました。メレサファイアは当店でご用意させていただきました。
華奢に感じるようになった...とペンダントのリフォームをご依頼されました。ご希望のとおり、手作り感のある個性的なデザインに加工致しました。
イヤリングを片方を落としてしまったのでヘッドにしたいのですが・・・・と、顔馴染みの方が御友人をお連れくださる。
見せて頂いたパールは上質ではあるが、一粒での使用は、優雅で上品なこのお方には小さ過ぎ、金やプラチナでパールの周囲を飾る様なデザインもお似合いではないなーと感じ、買い置きの大きな南洋パールを付けて、出来るだけシンプルにまとめることを提案した。南洋パールは価格破壊で以前の3分の1ぐらいの値になっている事由もあった。
若い時、パールの成り立ちを知って感動した。何も考えずに食べてしまう貝にも、"人間と同じに防御システムが備わっている(入ってきた異物を粘膜で囲む)"という自然の法則の明解さと、自分の身を護る為に努力した結果を、美しいものに実らせ、人間に捧げている。何といじらしい事か!!と。
だから「パールを身に付けていると忍耐強くなる」という"言われ"は本当の事と思え、価格の下落は貝に申し訳ない。
手持ちの指輪のアクアマリンが大きくて使えず、オパールのヘッドは逆に地味過ぎて使わない。ダイヤも有るので、まとめてペンダントヘッドにしよう・・・・と、昔なじみの方が仲良しの友人と御来店。 肩こり性とお聞きしたので、数日後、全体が重くならないような造りを考え、淡い色を引き締める為に、赤いルビーを両脇と真下に3個だけ加えさせて戴くよう、デザイン画を描いて提案する。
一ヶ月後の出来上がり時にはやはりお二人で取りに見えた。「素晴らしい!」「デザイン画よりいいわ!」「似合う!似合う!」と皆で喜んでお帰りになった。
が、しかし、1週間後再びお二人は来店。病院に着けていったら看護婦長の友人が「オパールはおかしい!赤い光る石に取り替えてもらいなさいよ!」と強行なだめ押しをしたと言う。どうやらこの方は、きらきら光るカット石ときらきらしないカボッションカットの組み合わせを見たことが無いらしい。
1年に1~2人はこの様な”自信のある人”が出現し、こうした方がああした方が・・・・と提案する。最近は「自分の良心に従ってやります!」とのみ答えてる。
この”自信の無い方”に言った。光る物光らない物・淡い色強い色・夫婦の男女・宇宙全体、すべてこのバランスの上に成り立っているのでは・・・・?と。
実直そうな若い女性が来店くださる。「この指輪を、葉っぱの形のヘッドにしたいのですが・・・・」とおっしゃる。「葉っぱの形も色々ですが、どのような形がよろしいでしょうか・・・・?ダイヤは使いますか・・・?」お聞きすると、「葉の形はお任せします。ダイヤは予算以内で」入るなら、葉っぱから垂れる滴のように使ってください・・・・」迷いのないすっきりしたお顔でおっしゃった。
「やっと仕事のペットシッターサービス(留守中のペットの世話)で生活出来るようになったので、心配しながら亡くなった母が残してくれたものを、仕事柄、見えないようにやっていたいのです。」とも。
お母様が生きていた時、看病しつつペットの仕事を始めたらしいが、アルバイトしないとやっていけなかったと言う。
私は彼女の想いに感激し、亡き母上様の想いにも共感し、"葉っぱ"の形を考え続けた。ある朝、いつものように神棚の榊の水を取り替えていると、葉の後ろ側に小さな実がびっしりついて、所々白い花が開いている!!"これだ!"と私は決定。
「榊の葉にしませんか!ダイヤは消えてしまう滴になどせずに、想いの結晶である花にしましょうよ!!」次の日彼女に了承を得た、少々興奮気味に・・・・。
装飾品のリフォーム依頼が大宮方面から入り、車の運転をなさらない方なので、「こちらから出向きます」と答えた。そして大宮駅近辺で、見本を並べたり、見積りの為にコンピューターを稼働させる事が可能な店を探すことにした。
まずはネットで探索し、娘と共に車で出向いた。"空"というギャラリーも併設の
"菜々草"は、オーナーが華道の先生とあって、花の装いが素晴らしく、また有機農法の野菜を使用する"こだわりの店"なので、再三お願いし「木曜なら・・・・」ということで許可を得た。
大宮西口から徒歩10分位のこの店で、娘と共に初めてお会いした方は、"私の出会いあれこれ”を小雑誌で読んでいてくださったそうで、昔からの知り合いの様な親しさを感じた。
牡丹のように華やかで可愛い方であるが、"自分を理解し知っている方"なので、指輪はその場でデザインが決まリ、ヘッドは後からデザイン画と見積もりを送り了承を得た。お陰様で良くお似合いであり、喜んで頂けて感謝感激!!・・・である。
三年前の今頃、茨城県繊維工業指導所の方々が突然見えて、「一年後の国民文化祭に向けて、結城紬のアクセサリ-を開発出来ませんか?」と提案された。
私は「糸を使った方が良いかも・・」と答えたのだが、それが布に織れずに最後に機織り機に残る糸、?きりすね?との出会いであった。
国民文化祭迄には、ネックレス・ブロ-チ・髪飾り・帯どめ・茶卓等、夜なべの制作を続行して開発した。
その肉体的に苛酷な時間を「本当に自分のすべき事なのか?」と自問自答を繰り返しては、?きりすね?という織り元のタンスに山積みされている糸の事を想って、なぜか悲しく続けてきた。
そして今年二か月前から、きりすね教室を始めた。「習いたい」と訪ねて来て下さった方、電話下さった方が現れたからである。お陰様で素晴らしい方々との出会いにより、少しずつではあるが世に出ている。
どれもシンプルであっさりとした、若々しいデザインの品々を沢山お持ち頂いた。「存在感の無いものばかりなので、使用する気になれなくなって・・・・」、と年齢に応じた美を正確に感じ取っていらっしゃる方であった。
当店ですでにリフォームされた方から聞いたとおっしゃり、「こういうお店をず-と探していたんですよ・・・・!!出来合いのデザイン枠を選んで宝石を入れ替えるだけのリフォームしか無かったので、こんなお店に出会えて嬉しいです!!」と、デザイン料が無料ということもあってか「全面的にお任せします・・・」と、"ペンダンダントヘッド"と"帯留め"へのリフォ-ムを依頼される。
聞けば和服がお好きで、和裁と着付けを習い、自分で仕立てた着物でお出かけするのだという。表情豊かで明るく美しく清潔感溢れるお方だが、お仕事をしっかりなさりつつ二人の男の子を育て上げられたとの事、内面も外面同様に明・美・真で、常に自分に忠実に生きてらっしゃるのであろうと思われた。
Aは、娘様と一緒に御来店の65歳前後のお母様。ご自分の指輪を4個壊し、3個のヘッドにリフォームされた。
一つはご自分で使いたいと、メキシコオパールを18金で加工、1個は娘様とその娘さん(お孫さま)用に、もう1個はお嫁さんとその娘さん(お孫さま)にと、お孫さんの成人後までの長い時間を想い、永遠不滅のプラチナとダイヤを、譲るものへと準備された。
「華やかで居て欲しい。」という"母(80歳過ぎ)の想い"に促され、無農薬の畑仕事が大好きで、装飾品は「ほとんど使わない」とおっしゃる、端正な美人で魅力的な娘様(50~60歳)は、母親のドライバーの役目を担いご来店。
聞けば、お子様が男子のみで、出かける事も少なく、"美"への欲求がお有りでなかった。「男の子は実は女の子以上に母親の美しさを望んでいるもの・・・、女性は"肌の衰える年代"になると宝飾が似合う様になるんです・・・」と申し添えた。
「父の形見なので・・・・・」と未婚のお嬢様がご来店。姉妹というお二人は不思議な程似ていないが、他界なさったばかりのお父様を偲ぶ想いは一緒で、「父が使った指輪の石を半分に切って、一個づつ指輪を創り毎日はめていたい・・・・」という。
天然石は、身につけた人の想いを吸い取り、又それを身に付ける人に放出するという。優しい娘達に私は何度も言った。「その指輪は必ずあなた達を守りますよ!!」と。そして二人の個性を重視して、全く違った雰囲気の二個の指輪が出来た。
その前にも、「主人が買ってくれたパ-ルの指輪を常に嵌められる様に・・・・」と来店の、やはり御主人が他界されたばかりの奥様がいらっしゃった。
何年も治療の為に青森の天然ラジウム温泉場へ通われ、「やれるだけやった!」という献身的で明るく、可愛い方であった。
御主人の愛を忘れない様に、ハ-トにダイヤを留めて、パ-ルの傍にそっと添えた。
御縁を頂いたこの仕事で最大の喜びは、リフォームをなさった方々が出来上がりを取りに来られて、初めて身につけてみる瞬間、「その方の耀く様」をうわっーとう音無き声と共に見届ける"一瞬"の感動にある。その"一瞬"の為に、リフォ-ムはちょっぴり怖いながらも張り切って毎回臨んでいる。
たぶん娘も同様で、お客様がお帰り後、「ああー良かった!!喜んで下さった!!」という言葉が自然とこぼれ、それを聞いて私もホッとするのだが、この言葉を聞く迄には、制作に励む娘夫婦の努力をダメ押しし、涙を流させる事もあった。
「あの方は強い手だから、高さを1ミリ上げないと・・・・やり直し!!」「小指側の下がり角度をもう少し強くしないと・・・・!!」等々と。
この頃、私の横暴なだめ押しに、二人とも素直に対処する様になっている。あの"一瞬"の感動がすべてを明らかにしてくれるからと思っている。
また、歌を習う機会を得た。気がつくと合唱団を辞めてから10年もたっていて肺活量も腹筋も衰え、声がでない。しかし練習日が月一回という事、その日が水曜日(定休日)という、誠にグッドタイミングな条件に、主人の没後3年間コマネズミの様に動き続けてきた私に、「少し楽しい時間も持ちなさいよ・・・!」という優しい神・あるいは亡き夫のお奨めの様に感じて、少し離れた地"上尾"でシャンソンを始めた。
このご縁は、たまたまお習いになっている方がリフォ-ム依頼で御来店、美しいお手紙で再度お誘い下さったお陰で、素晴らしい仲間に出会い、新しい空気が私の人生に流れ入ることとなった。
写真(before)は「母から貰ったものだけど・・・」「使えるデザインに・・・」と語る先生の品々である。
底抜けな明るさ、舞台で歌い、生徒の為にピアノを弾き続け、作曲をし、絵を描くというめったに無い才能の持ち主で、60歳代なのに40歳代にしか見えない。「先生の絵はどれも、多くの人間が満ちていますよね?」「私は人間が大好きなのよ!!」"とことん世俗的"とおっしゃる
太陽のような明るさに現実的な力を組み入れたデザインを考えた。
黒の服装がお似合いでおしゃれな人。底抜けに明るく、話がおもしろい。そんなお方がリフォ-ム依頼で持参された品々を見て、「こんなお似合いでないもの、よくお買いになりましたネ-!」等と失礼な事を言ってしまった。「そうなのよ-!」優しい方は、口を尖らせながら頷いて下さった。
「シルバ-で、大振りの存在感のあるものになさったらいかがでしょうか?」と提案すると、「私も、そう思っていたの!」と一致、右手薬指用をご希望された。
昨今、金・プラチナ・銀等、地金が高騰、私は、「似合うデザイン」を優先して勧め、地金の種類は二の次としている。ジュエリ-の仕事に携わる前の若い頃、自分の洋服に合う、安い類のイヤリングやネックレス等を捜し使用した。ジュエリ-デザイナ-になってからも、自分で創ったシルバ-の装身具を着けて出社していた。それらは地金の種類に関係なく"自分らしくある為"に必要なものであった、と思える。
正に、この事が装身具の役割であり、顔に化粧をすると心がシャンとするのと同様に、身体の化粧も心を明るくし、周りをも明るくする、と考えている。
最近の巷のニュ-スは、偽装・不正等誇りを消失した人々の登場が多く、国民を驚かせている。「大きい事は良いことだ」という言葉は、企業家の憧れで、"嘘"を受認し利益拡大に走っていったに違いない。しかしこの事は、人々が、あてがわれた情報を鵜呑みに進んできた、当然の結果に過ぎないと思っている。
外国ブランドに弱く、横文字に弱く、大きい会社に弱く、"売れている"というマスコミの言葉に弱い、人の良い日本人に、「これで良いのか!」と腹立たしく感じることが多く、小企業だが日本のオリジナルを創ろう!と奮闘し25年も経った。
多くの"真実"が暴かれても、中国製品に対する不安感が強くなっただけでまだまだ洗礼が必要な気がする。
幸か不幸か私の孤独な戦いを、不安ながらも娘夫婦が受け継いでくれた。私は今後、日本の未来を良き方向へと願いつつ、やっと特許を受諾した我がブランドを若い人々に胸を張って勧めていこうと決意している。
多くのリフォーム依頼の方々との出会いから、貴金属の品々が使えずにしまわれている原因が、大方『デザイン』にあるのに気付き、50歳を過ぎてからの私は、30代半ば、月に100枚ものデザインを、寝ずに描き続けていた時のように、机上でデザインを考えることはしなくなった。
『リフォームなさりたい理由は?』の問いに?デザインが古い?爪が引っ掛かる?年齢にそぐわなくなった?指輪がぐるぐる回ってしまう?指輪はしないから、(逆にヘッドを指輪に)等、返答は同じ類で、確かに'目'にその通り'見える'。
だから一言でいえば、リフォームは『似合わない物を似合うようにすること』だと言い切れよう。
『似合うもの』は身につける方の生き方や人柄等、「見えない部分」を他の人に「観せる」から不思議である。
写真のAとBは、謙虚・個性的・おしゃれなお二人方のリフォームである。
今の時代『人々は大衆ではなく分衆である』という記事を読んだが、私も前々から、そう感じていた。
リフォ-ム依頼の方々は、以前に購入の貴金属類を少なくとも数年は使用した結果、その自らの体験を基盤にして判断なさるので、写真の2つの実例のごとく、どの様なデザインにするか?は、ご本人の提案によって決定する。
しかし、胸踊らせ夢をもって婚約結婚指輪を創ろう!と来店の、ブライダル誌の情報に浸かっている人、外国ブランドに憧れている人、母親の持つ貴金属をベ-ス価値観を持つ人、等々、体験ゼロの方々に「使い勝手が良く、度々使用できて、まずは貴方に似合うものが最良」と力説し、これら体験者のリフォ-ム実例集をみせても、その効果は様々。
別に力説せずとも、本人自ら「普段に使えないと・・・・」と言う冷静な若人も有りで、多色の世の中をおもしろがった方が良さそうである。
若い人々が"引きこもる"今の時代を、謳歌する60歳代の人々もいる。一人一人が主人公の人生は、なんと多種多様でオリジナリティーであり、にもかかわらず家族の中、世の中で調和が取れているのだろうかと驚かされる。
(1)のリフォームをなさった方は、毎日のようにプール通いで、色んな海に潜った事、海中の景色が素晴らしい事を聞かせて下さり、スポーツウーマンぶりに驚いた。確か94歳位だったと思うが、そのお姑さんもお元気で、自分の事は自分でなさろうという気丈な方だという。
(2)のリフォームの方は、御主人の運転で桶川からいらした。人を疑わずにお話なさる目と表情の潔癖さに、昔なつかしい人に出会ったようであった。お召しの素敵な和服地の洋服はご自分の仕事で、シャンソンと水彩画も習っているとか。。
(3)のリフォームの方は大宮在住で、御主人の仕事を手伝いながらも軽くて独特のバックを作っていらっしゃる。オパ-ルもペンダントにリフォームされた。
この「出会いあれこれ」を長い間読んでいて下さり、「やっと来ました!」と初対面ではない様な笑顔で来店下さる方が多く本当に嬉しい。反面、期待に添えるようにとの緊張感も出て、失礼にならない程度に、ご職業やら家族構成等を含め、好みを探りつつお聞きしている。
花に例えれば「何の花?」と、お会いしている間に、その方の「香り」を忘れない様にとおおよそのデザインの印象を提示させて頂いて、細部は形を削り出していく途中や最後のまとめに決定し、"良し"と思えるまで・・・と"急がないこと・・・"を自分にも娘にも、戒めている。
しかし、お会いしている時の印象はほぼ正確らしく、提示したデザインが大きく変更されることはほぼ無いと言って良く、だいたいスケッチ通りに出来上がる。
写真の2つの例もほぼその様であった。雰囲気の違いはそれぞれのお方に、とても良くお似合いである。
「母の形見なので・・・・」と、物質を越えた愛おしさを添えてリフォ-ムに来店なさる方が多々ある。そんな時、「母親とは偉大であり幸せな存在だな-」と、尊敬と羨ましさから、勝手に"亡き母様"の姿を思い浮かべてしまう。その姿は決まって、子供の為には自己の事はどうでも良いという、自己犠牲の心を持ち、自己犠牲の行為を続けていたであろう姿である。
(A)のアメジスト持参の御方は、何年もしまっていて、「いつかはきっとリフォ-ムしようと思っていました・・・・」とおっしゃり、(B)のお方は必至の看護をなされた甲斐もなく去年旅だたれ、まだ悲しみが癒えていないことが言葉の端はしから窺えた。
不思議なことに、私への依頼は愛する母親を持った幸せな方たちと、まだ娘を見守っているであろう、この指輪を大切に使用してらした方々からの共同依頼と感じてしまうことである。
だから、「母上様に喜んでもらう為には娘様を喜ばせなくては・・・・」と、まだまだ微力なくせに、気づいてはいる。